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きっと、
今日は特別な日だ。
いつもは六時を過ぎないとベッドから抜け出せない僕が、
今日は一時間も早い五時に目が覚めた。
一階に降りると、
食卓のいつもの位置で
新聞を読みながらコーヒーをすすっていたお父さんが
僕の顔を見て驚いたように、
「なんだ、もう起きたのか。珍しいな。
今日は雨、いや、ミサイルでも降るんじゃないか?」
と、意地悪な表情を浮かべて言った。
それには何も答えず
黙って食卓のいつものイスに座ると、
お母さんが
台所からコップに注がれた牛乳を持って現れて、
何も言わず僕の目の前に
牛乳を無感情に置き去って、
また台所に戻っていった。
ちらちらと、
お父さんの視線を遮るように
目の前に広がる新聞を
読むでもなく眺めながら、
ちびちび牛乳を飲んでいると、
お母さんが台所から朝ごはんを運んできてくれた。
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