*始まりの時

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衝動的に思う反面"この人だ! ……この人こそ私がずっと捜し求めていた人に違いない"。 昔からそう確信した人との結婚を夢見ていたのに、気付けばあっという間にアラサー…… なんと月末には、アラフォーの仲間入り。 もう焦りは通り越し、既に諦めの境地に。 三十四年間"ただひとり"に出逢えると信じ、妥協することなくおひとり様貫いてきたけれど、残念ながらタイムリミットの音が鳴り響いているもよう。 だってこの家以上に大切なものなんてない。 両親が、数年前に苦労に苦労を重ねて、やっとの想いで手にしたMy Sweet Home…… 私達家族の愛と夢と理想が、カタチになった何より大切な場所。 全ての御客様を大切な家族として『お帰りなさい』と迎えてきたこの場所は、私の世界一大好きな場所。 もう御客様を迎えることは出来ないけれど、絶対に手放したくない、何が何でも守りたい。 でも学歴もキャリアも大したことない私は、玉の輿にのるか、宝くじに当たるしか思いつかない。 ……まだ玉の輿のが、可能性あり? ならば私に残された道は唯ひとつ、何が何でも玉の輿に乗る! 決定! その為には、私の最大の武器になるであろう奇跡? の美魔女を最大限に活用し、最大の弱点ともいえるじきアラフォーを蹴り散らすの。 ……って、どうやって? ……後々考えよう。 とにかく泣いたり悩んでる暇はない。 顔を上げて、玉の輿街道一直線へと突き進むの。 頑張れ! 私。
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