*始まりの時

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そんな彼が、正面から切なくドキッとする目で見つめていた。 その間20センチ弱。 こんな至近距離で男性と見つめ合うのはあまりに久々で、普通なら即距離を取るところだけど、普段画面や紙面でしか御目にかかれないほど端正な顔立ちに思わず釘付け……思い切り見惚れてしまう。 綺麗……こんな綺麗な顔立ちだったの? 龍君をこんな間近で見るなんて初めて。 コンタクトも眼鏡も苦手な私は、店ではいつも裸眼。 実は、視力検査で一番上がやっとに加え、乱視で御客様の顔もボンヤリ…… だから彼の顔をこんなにもはっきり見るのは、今が初めて。 ……睫毛長い……凄く綺麗な二重の目…… ここまでイケメンなんてびっくり。 しかも初のスーツ姿が、とても新鮮でカッコイイ……まさにデキる男、超イケメン極上男子の仕上がり。 我に返ったとたん、ヤバいくらい年下に加え友達の彼にドキドキしちゃってる。 いくらアラフォーに王手間近といえど、恋愛スキル低い上に彼氏いない歴三年の私。 すっかりドキドキ免疫力低下中に、こんな芸術的な顔が目の前なんてあまりに刺激的! 顔が、爆発したように赤くなり立ち上がろうとするけれど、なんと脚が痺れて動けない。
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