離《はな》れ

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自分の部屋で荷物を広げ、しばらくゴロリと横になった。しだいに窓から夕日が差し込み部屋中をオレンジ色に染めていく。 立ち上がって、窓辺からのどかな風景に広がる夕日を眺めた。 三重県で生まれ、高校生まで実家で暮らした。 私立の大学へ通うため東京へ出て、そのまま東京で就職した。 仕事にもすっかり慣れたある日、いつものように出勤した朝。会社の玄関に「お()び」の貼り紙がただ一枚、(かぜ)に揺れていた。 何の前触(まえぶ)れもなく5年間勤めてきた会社が不渡(ふわた)りで倒産したのだ。 しばらく事態が飲み込めず、一方で昨日やり残したままの仕事がやけに気になったことだけをよく覚えている。 そうやって突然、拘束(こうそく)されない時間が始まったのが半年前。 再就職も思うようにはいかず、このままでは気がおかしくなりそうなので、気分転換を兼ねて農家の住み込みのアルバイトに応募したのだ。
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