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三人
空が暗くなり星が瞬き始めた頃、まかないの夕食を持ったオバさんの声が玄関から聞こえた。
「二人とも畑から戻ってきたよ。夕飯を持ってきたよ」
食事はこの離れで三人で食べるようだ。
「今日からお世話になります」
私は『まっとうさん』と『宇宙人』に挨拶をした。
よろしく、と二人とも頭を下げた。どうやら二人とも悪い人ではなさそうだ。
「どちらの出身ですか?」
確かにどこか一風変わった感じのする『宇宙人』に私が尋ねた。
「なーら」
豚のしょうが焼きを口いっぱいにほうばりながら『宇宙人』は答えてくれた。
「あ、奈良ですね?」
『宇宙人』は箸を振って頷いた。
あなたは?という意味合いを込めて、私は『まっとうさん』を見た。
「ぎーふ」
『まっとうさん』は真面目な顔で答えてくれた。
「ハ、ハ、ハ。ぎーふ(岐阜)、ね」
真面目な顔と冗談のギャップに『まっとうさん』の気遣いを感じた。
彼らと3ヶ月、うまくやっていけそうな気がした。
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