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M邸書斎にて
「今日は特別な日だ、かあー」
モモが頬杖をゆっくりと傾け、そのまま倒れる真似をする。
おいおい、とミミはその体を支えた。
「テーマというならわかるけど、この一文から始まるっていうのは、正直、思いつかないなあ。ミミ、あんた、思いつく?」
「卒業式、プロポーズに臨む日、結婚式、思い人と死別した日、一周忌、はたまた出所日」
「あ、出産した日とか」
「やっぱり、人生の節目という感じがするよね。でも、モモの言うとおり、冒頭には持って来にくいなあー」
「今回は見送ろう」
モモがテーブルクロスを引っ張りながら身を起こしたので、今度はティーカップがソーサーごと床へ落ちそうになる。
「おっと」
考え事をするには、紅茶。疲れたらレモン。モモはふううっと息をつく。
「あっ、ねえ、聞いて。私、お話、思い付いた」
モモはいたずらっぽい目つきで、口からカップを離した。
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