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「俺はともかく義之、オマエはなんか武器を用意しないとダメだ。化け物の斧に対抗できるやつをな」
哲夫はなんとか素手でも戦える自信があった。
だが同じ空手部員でも義之は幽霊部員だ。
とても自分と同じように相手ができるとは思えない。
それに老婆は怪力だ。
なんとか斧を受けても弾き返されるかもしれない。
「やり合うのは最後だ。ギリギリまで車で逃げよう。奴は最初、恵が乗った車を追いかけようとした。俺が止めたから手間がかかるんでボロボロに崩れた……」
哲夫の意見では老婆は追い付けそうならそのまま走ってくる可能性が大きいということだった。
だがどこまで付き合ってくれるかは疑問だ。
追いつけないとみるや恵のときのようにいきなり前に現れるかもしれない。
だが今回は時間的に大分有利だ。
日の出までは2時間弱。
その時間を逃げ切れば美樹は助かるはずなのだから。
義之は美樹を守るために考ついた計画を哲夫に話した。
「それなら時間が稼げるかもな」
哲夫も義之から話を聞いてこれなら可能性はあると思った。
基本的なことが決まったところで仮眠をして明るくなってから準備をすることにした。
義之と哲夫が眠った後、美樹は借りてきた「魔女の日記」のある部分を何度も読み返していた。
なにかを暗記するかのように時折、日記を閉じてボソボソと口にする。
そして最も気になるところを書き写してからホットパンツのポケットに入れた。
翌日。
昼すぎに起きた義之と哲夫は眠っている美樹を起こさないように一日の段取りを打ち合わせした。
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