123人が本棚に入れています
本棚に追加
/203ページ
「俺は……あの化け物とやり合ったんだ」
「ああ……」
義之と美樹は哲夫の口から悪夢のような戦いを聞いた。
哲夫の目の前で砂のように崩れ落ちたことも。
だが恵が死んでいるということは走行中の車に追い付いて殺したことになる。
「恵のやつは俺も殺されたと思ってんだろうな……なんで俺は生きてんだろうな……」
哲夫の目は虚ろだった。
もしかしてこのまま後を追ってしまうんじゃないか?
だが義之はとっさに哲夫にかける言葉を思い付かなかった。
耐え難い沈黙が三人を圧し包んだ。
「何時だ?」
「えっ?」
顔を伏せたまま哲夫がボソッと聞いてきた。
「化け物は美樹の前に何時に現れる?」
「2時には……」
美樹が恐る恐る言う。
「義之、手伝わせてくれ。どのみちオマエ一人じゃ逃げ切れねえよ」
ニヤッとしながら哲夫は言った。
「哲夫、オマエがいてくれれば心強いよ」
「俺はオマエ達を守ることで恵の敵討ちをするつもりだ」
「ああ、だけど無茶はするなよ!絶対だ!」
「わかってるよ」
三人はその後、どうやって美樹を殺しにくる老婆と戦うか打ち合わせした。
最初のコメントを投稿しよう!