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義之も高校に入る頃には夜中に肝試しなどと称して友達ときたことがある。
噂が人を呼んでちょっとした心霊スポットになった。
まさか大人になってまた来るとは思ってもみなかった。
正面玄関の自動ドアが来訪者を誘い込むように口を開けていて中には真っ暗な廊下が続いている。
二人は台車で荷物を運びながら正面玄関を横に通過した。
外来病棟の奥に入院病棟がある。
二つは渡り廊下で繋がっていて上から見ると「工」字の形をしていた。
二人が目指すのはその入院病棟だ。
周囲には背の高い樹木が生い茂ってまるで林の中にいるようだ。
樹木が陽射しを遮っていてひんやりとしている。
外来病棟の裏に廻ると義之は一つの頑丈な鉄扉を指差した。
「あそこから入ろう」
その扉は入院病棟から外に通じるものの中では唯一窓がない。
これなら逃げ込んだときに時間をかせげそうだ。
荷物はかなりの重量なので段差がある場所は一苦労だ。
中は思いの他涼しいが埃とカビの臭いが鼻についた。
誰かが捨てていった雑誌や空き缶、割れたガラスが散乱している廊下をいくとお目当ての部屋があった。
扉にはリクリエーションルームと書いてある。
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