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「ただいま」
ドアを開けて中に入ると美樹がテレビを観ていた。
「おはよう」
美樹が微笑みながらこっちを向く。
「おお」
義之も笑顔で返す。
「良く眠れたよ」
「そっか……あっ、これお土産な」
義之は手に下げたコンビニ袋からお茶のペットボトルを手渡した。
「サンキュー♪」
美樹の横に座ってテレビに目をやるとニュースをやっていた。
内容は殺された恵のことだった。
井の頭公園での大惨劇、殺人に使われた噂、呪いの検証、泣き崩れる恵の両親。
「ねえ、義之」
「ん?」
美樹は義之の肩に頭をよせると恵の母親のインタビューを観ながら言った。
「あたしは死なない……こんな訳のわからないことなんかで絶対死なない……絶対にどんなことになっても生き延びる」
ペットボトルをにぎる美樹の両手には力が入っていた。
思えば思うほどに強く。
「ああ……必ず守るよ」
義之は美樹の頭に手をおくと力強く抱きしめた。
時計の針は午後6時をまわっていた。
あと8時間で二人に悪夢のような現実が訪れる……
深夜の2時に備えて2人は横になった。
11時をすぎたころに哲夫と伊藤がやってきた。
「秋葉原でいろいろ買ってきたぞ」
哲夫が笑いながらズシッとしたチョッキを渡してきた。
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