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「ヨイショオー!!」
気合い一発、哲夫の斧が老婆の右腕に炸裂した。
ボトッと床に右腕が転がる。
「義之!打ち込め!!」
哲夫の一声で義之は無我夢中で倒れている老婆に鉄パイプの雨を降らせた。
哲夫も斧を振り下ろし適を刻んでいく。
老婆の動きが止まった。
「おい!」
義之が手を止めて哲夫に向って叫ぶ。
見ると相手の身体はみるみるうちに砂の塊のようになっていった。
そして崩れていく。
「気をつけろ!現れるぞ!!」
哲夫が言うと三人はそれぞれ背中合わせになって武器を構えると室内を見渡した。
この薄暗い部屋の中のどこかに必ず現れるはずだ。
すると金庫の前の床が盛り上がってきた。
床面にひびが入ると徐々に拡がっていく。
「あそこからくるぞ!!」
伊藤が指差すと全員が向き直った。
まるで手品のように床から老婆がゆっくりと出てくる。
もちろん無傷だ。
「バカ正直に待つことはねえよ!やっちまおう!」
哲夫の言葉に従って三人一斉に打ち込む。
そのとき老婆が振り向きながら斧を一閃した。
ビュオンッ!!
風を切る音が室内に響き渡る。
その凄まじさに打ち込んだ三人はピタッと動きを止めた。
『許せぬ…… 我が使命を邪魔する小虫ども』
老婆の口が動くと言葉が発せられた。
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