125人が本棚に入れています
本棚に追加
頭の中に直接響いてくる。
「しゃべったぜ……」
「ああ……」
哲夫が義之に話しかける。
真夏の蒸し暑さからぐっしょりと汗をかいてきた。
「俺達を敵として認識しちまったな」
伊藤がぼそっと言った。
老婆は目の前の標的――
美樹が入っている金庫を破壊する前にまずは三人を始末することを優先したようだ。
三人との距離は3㍍ほどだろうか、緊張が張り詰める。
そのとき一足飛びに老婆が飛び込んで間合いをつめた。
そして雑草でも刈るように右腕の斧を振る。
斧は伊藤の脇腹を直撃して吹っ飛ばした。
全てが一瞬だった。
あまりの速さに身をかわすこともできなかった。
「伊藤さん!!」
倒れた伊藤に声をかける義之。
「痛てっ…… 大丈夫だ」
脇腹を押えながら立ち上がる伊東を見て老婆も首をかしげた。
用意しておいた防刃チョッキが役に立ったのだ。
もしもなかったら伊藤は胴体を真っ二つにされていただろう。
今度は義之に向って斧が来る。
上段から振り下ろされる斧を間一髪かわしたがそのまま後ろに倒れてしまった。
さらに倒れた義之を襲う。
振りかぶった斧を振り降ろすと哲夫が横から割って入り斧をはじいた。
「どうだ?今度ははじいたぜ!」
不敵に笑う哲夫に顔を向けると今度は哲夫に攻撃をしかけた。
横から襲いかかる斧を今度は自分の斧で受け止める。
今度はよろけることなく受け止めた。
最初のコメントを投稿しよう!