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「セイッ!!」
気合とともに老婆の顔面に蹴りが入った。
ぐらっとすると一歩後退するようによろける。
よろけた老婆にすかさず立ち上がった義之と伊藤が殴りかかる。
とにかく相手の身体を破壊するしかない。
伊藤の一撃が頭部にあたったが義之のは左の盾に防がれた。
そのまま右から斧がくる。
慌てて後ろに跳びはねてかわす。
間合いをつめる老婆の顔面に伊藤がさらに一撃加えると後ろから哲夫が斧で片脚を切断した。
倒れ込む相手にさらなる攻撃をしようとしたが右腕が健在なために斧を振り回されると近づけない。
躊躇している間に片脚の老婆が起き上がった。
義之は今になって到底一人では美樹を守ることなどできなかったことを痛感した。
三人とも熱帯夜に服や防刃チョッキを着込んでいるため体力の消耗が激しい。
加えて命懸けの攻防からくる精神的疲労……
対する相手は疲れることのない化け物で何度でも再生してくる。
絶望的な状況だった。
「誰かは必ず後ろに回り込むようにしろ!!」
言いながら哲夫が老婆から視線を離さずに擦り足で移動する。
老婆は哲夫に狙いを定めた。
「こいよ……」
哲夫がつぶやくと老婆が片脚で跳びはねた。
タイミングを合わせて義之と伊藤も後を追うように打ちかかる。
哲夫が斧を受け止めたのと同時に義之と伊藤の一撃が炸裂した。
そして哲夫が斧を持っている腕を取る。
「今だ!!」
義之が思いきり振った渾身の一撃は老婆の腕をへし折った。
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