125人が本棚に入れています
本棚に追加
すかさず左手に持ち替えようとするのを哲夫がつかんで防いだ。
両手を封じられた老婆は牙をむいて哲夫の顔面に食いつこうとした。
そこに伊藤が鉄パイプを噛ませる。
哲夫は素早く一歩下がると
「伊藤さん!離れて!」
伊藤が両手を離したとき老婆は鉄パイプを咥えながら哲夫をにらんだ。
そこに哲夫が首めがけて斧を一閃した。
恐ろしい形相のまま老婆の首が床に転がった。
同時にその身体もどっと倒れこむ。
そして土色に変わりさらさらと崩れだした。
さすがの哲夫も肩で息をしている。
すると正面の壁が盛り上がってきて人型になった。
そのまま抜け出るように老婆が復活した。
「キリがねえ……」
義之が言うと伊藤が
「覚悟の上だ」
そう言って義之の肩を叩いた。
ゆっくりと三人に向かって歩いてくる。
そのとき入口に人の気配がした。
近所の中学生ほどの男女数人がいつの間にか病棟に入ってきていた。
昔の義之達のように怖いもの見たさで心霊スポットにきたのだろう。
「なんだあいつ!?」
「首切り魔!?」
中学生達は口々に叫ぶ。
中学生に気を取られた一瞬の隙をついて老婆が切りかかってくる。
斧は義之めがけて真上から振り降ろされた。
「あぶねえ!!」
哲夫が思いきり義之を突き飛ばした。
倒れた義之はギリギリのタイミングで斧をかわすことができた。
最初のコメントを投稿しよう!