第十六話 絶望

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「義之、今、何時だ?」 最後尾を走る哲夫が先頭の義之に聞く。 「4時になるところだ」 義之は時計をちらっと見ながら答えた。 「あと少しだな!」 哲夫が後ろを振り向くとちょうど老婆が後を追って外に出てきた。 「きたぞ!」 哲夫が叫ぶのと同時に老婆も走り出した。 「走れ走れ!!すぐ追い付いてくるぞ!!」 後ろから哲夫が義之と美樹に声をかける。 二人とも返事の代わりに全力で走った。 病棟の角を曲がり外来病棟の方にでると入口の方にいくつもパトライトが点灯している。 「おい!止まれ!」 人数にして10人程だろうか?その中の一人が義之達に向かって叫んだ。 「追われてるの!首斬り魔よ!!」 美樹が走りながら警官に向かって言う。 「まず凶器を捨てろ!」 見ると全員が拳銃を抜いていた。 立ち止まるしかなかった。 「義之!きたよ!」 美樹が指差す方を警官も見た。 凄い勢いで迫ってくる老婆を見て警官の一人が叫んだ。 「あ、あいつだ!無線で言ってた奴だ!」 「さがれ!」 警官の一人が義之達に言う。 走ってくる老婆に一斉射撃が行われた。 だが老婆はバランスをくずしてよろめいただけで走るのを止めない。
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