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そして義之達と自分の間にいる何人かの警官に向けて斧を振った。
鮮血を噴き出して一人が倒れる。
「なんだこいつ!?」
警官達は老婆のその異様な姿に恐怖した。
肩から生えている二本の腕……
「撃て撃て!!」
「馬鹿!この距離じゃあ同士討ちだ!」
警官達の怒号と銃声が飛び交う中、義之は敷地の入口に目をやった。
パトカーで塞がれている。
これでは車で逃げれない。
「畜生!これじゃあダメだ!」
「義之、屋上は!?」
美樹が肩をつかんで言う。
「屋上?」
そのとき警官がまた一人倒れた。
「考えてるヒマなんかねえよ!いくぞ!」
「わかった!」
哲夫の一声で義之も腹をくくった。
美樹の手を引っ張り病院の自動ドアに向かって走りだした。
その姿を見て老婆も後を追う。
その前に哲夫が立ちはだかった。
「テメエの相手は俺だ」
「ウオォォォッ!!」
老婆が吠えた。
邪魔をする哲夫に向かって斧を繰り出す。
二つの斧と一本の鉄パイプの攻撃を哲夫はかわしながら反撃した。
だがことごとく防がれる。
「腕が多すぎなんだよ!」
哲夫は毒づきながら老婆の頭部に目掛けて斧を振った。
老婆は鉄パイプで斧を受けると空いている腕で哲夫の肩をがっちりとつかんだ。
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