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もう助からない……
逃げきれない……
死にたくない……
もっと生きたい、結婚だってしたいし子供も欲しい……
いやだ!死にたくない!
ゆっくりと自分に向かって歩いてくる老婆を見ながら何度もつぶやいた。
「美樹……」
老婆の後方から左手に斧を持った義之がふらふらと歩いてきた。
義之はもう戦える身体ではない。
自分でなんとかしないと……
地面に転がっている人差し指ほどの大きさの石を手に取ると、美樹は震えながらホットパンツのポケットから紙片を取り出した。
「美樹――っ!!逃げろーーっ!!」
病院の敷地に義之の叫び声が響いた。
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