最終話 それから

4/6
前へ
/203ページ
次へ
あのとき美樹は一縷の望みをたくして、ある方法を実践した。 自分だけが気がついた、処刑の呪いから確実に助かる方法。 ポケットから取り出した紙を見ながら大急ぎで地面に石で魔法陣を描く。 そして老婆が目の前に来て斧を振り上げた瞬間、呪文を唱えはじめた。 老婆の動きが止まったかと思うと地鳴りのような音がしだした。 「美樹!」 義之が懸命に名前を呼びながら駆け寄ると突然、地面がぽっかりと大きな口を開けたように無くなった。 美樹と老婆、義之の足元には地面はなく、恐ろしい地獄が広がっていた。 「美樹、オマエ……」 義之は何が起きたのか理解した。 美樹が唱えた呪文はあの日記に書かれていたサタンを呼び出す呪文だったのだ。 地獄の深淵から真っ赤な炎が吹き上がりやがて人の形になっていく。 二人の前に魔王サタンが現れた。 「助けてください!私を呪いから助けて!!」 美樹はサタンに向かって必死に訴えた。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加