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持ち帰った卵を柔らかい布の上に載せ、日当たりのいい暖かいところに置いた。元々草むらに転がっていたのだし、淡い光の明滅が失われることもなかったから、きっと卵は生きていると思った。
そして持ち帰ってから四日目の朝、表面にひび割れがあるのを見つけた。
やはりこれは卵だったのだ。いよいよ何かが生まれてくる。
一体何が生まれてくるのか。愛らしいものか、それとも恐ろしいものか。青年は期待と不安に胸を高鳴らせながら見守った。
ピキッ……ピキピキッ……ピシイッ!
微かな音を立てながら亀裂は拡がっていき、そしてついに大きな穴が穿たれた。
ひょこっと、穴から何かが顔を出す。
……!
青年はあまりの驚きに、息をするのも忘れて「それ」を見つめた。「それ」もまた、きょとんとした顔で見つめ返してくる。
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