青年と妖精

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 二人(?)の生活が始まった。  驚いたことに、妖精は生まれて間もなく少しずつ言葉を話し始めた。  妖精が気に入ったようなので身体に巻いてやった布で服を作ることにしたのだが、夜中までかけてやっと完成させた時には、妖精は感謝だけでなく青年の不慣れな裁縫を誉められるまでになっていたのだ。  同時に妖精は、人間が歩くことを覚えるように本能的に、自分がどういった存在であるのかということも少しずつ理解しているようだった。  月が明るい夜、妖精は外に出てよく空を見ていた。そうやって月の光を浴びることは、妖精にとってとても大切なことらしかった。
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