1人が本棚に入れています
本棚に追加
青年は恋をした。
相手は最近隣町から越してきた、少し病弱だが優しく気立てのいい娘で、青年は一目見て心奪われてしまったのだった。
いつもは朴訥としている青年だが、彼女に少しでも近付きたくて頑張った。その甲斐あって、ほんの少しずつではあっても二人は親しくなっていった。
今日は彼女と目が合った、今日は彼女と言葉を交わした、今日は彼女が笑ってくれたと、口数の多くなかった青年が何かあるたび嬉しそうに話すのを、妖精もまた嬉しそうに聞き、応援や祝福を送った。
だがそれらを口にする度心の中に生まれる不純物に、妖精は気が付いていた。
妖精もまた、青年に恋をしていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!