青年と妖精

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 青年は恋をした。  相手は最近隣町から越してきた、少し病弱だが優しく気立てのいい娘で、青年は一目見て心奪われてしまったのだった。  いつもは朴訥としている青年だが、彼女に少しでも近付きたくて頑張った。その甲斐あって、ほんの少しずつではあっても二人は親しくなっていった。  今日は彼女と目が合った、今日は彼女と言葉を交わした、今日は彼女が笑ってくれたと、口数の多くなかった青年が何かあるたび嬉しそうに話すのを、妖精もまた嬉しそうに聞き、応援や祝福を送った。  だがそれらを口にする度心の中に生まれる不純物に、妖精は気が付いていた。  妖精もまた、青年に恋をしていたのだ。
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