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ヤマは座っているだけで5メートルはある大男……更に曲がった事は何よりも許さないという厳格な性格をしており、裁判の名前から手下の鬼達から閻魔大王として恐れられている。
ヤマ・ラージャが統べる死後の世界、冥界。
今も人間道からまた1人……冥界へと流れ着いた者がいた。
「…………」
とある1人の少年……彼はぼんやりとした表情で道なき道をゆっくりと歩き続ける。
周囲は何もかもが黒かった……空も、地面である岩肌も……。
それが冥界の特徴だ。
何もない世界……まさしく虚無の空間。
少年はずっと歩き続ける。
目指している場所……それがあるのかは分からない。
しかし少年はただ歩き続けた。
一方、その少年の視線の方向の数十メートル先の場所。
そこで2人の鬼が歩いていた。
片方は赤い姿をした鬼、もう片方は青い姿をした鬼だった。
彼らの役割、それは六道の世界から来た者達を導く事だ。
赤鬼はがっくりと肩を落としながら歩いている。
「はっきり言って俺この役苦手なんだよ……」
「いきなり文句垂れてどうした?……まあいつもの事か」
赤鬼が愚痴を言い始めて、青鬼は飽きる様子で彼の話を聞く事になる。
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