大きな桜の樹の下で

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大きな桜の樹の下で

 今日は特別な日だ。  沢山の事が終わって、沢山の事が始まって。  私が終わって、私が始まった日。  だから今日はいつもよりずっと早起きをする。  早起きして、身支度を整えて、  それから、お弁当を作る。  お弁当に詰めるのは、全部全部彼が好きだった物。  唐揚げ、だし巻き玉子、そしてハンバーグ。  沢山、沢山作って、重箱に詰める。 「おはよー…ママー…」  暫くすると、寝惚け眼の娘が起きて来た。 「おはよう、美優(みゆう)」 「わぁっ!美味しそうなのが沢山あるっ!」 「ああ。こら、つまみ食いするな」 「えー!けちー!  パパだっていつもママのご飯つまみ食いしてたじゃない!」 「…ああ。そうだったな」 「あっ…ご、ごめん。ママ。  余計な事言っちゃった」 「…いや、気にしなくて良いよ。  ほら、早く朝ご飯を食べろ」 「はーい!」  ♪  ハンバーグの種をこねていると、リリリーン、リリリーンと玄関のベルが鳴る音と、 「俺だー。柚子だー」  そんな男性の声が聞こえた。 「あっ!柚子叔父さんだっ!」 「今手が離せなくて…美優、すまない、代わりに出てくれないか?」 「はいはーいっ!」  とてとてと美優が玄関に駆け寄って行く音と、ガチャリと扉が開く音、     
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