大きな桜の樹の下で

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 彼を愛した事を、心の底から後悔した。  …そんな時、私は、ある物を見付けた。  それは、私と彼、そして美優の写真が…三人分の幸せな時間がたっぷり詰まった、アルバムだった。  当時の私の精神状態なら絶対に開きたくない、触る事すら、表紙を見る事すら拒絶するであろうそれを、  私は、手に取り開いた。  あの時何故そうしたのか。  あれから七年経った今でも、その理由は私には分からない。  でも私は、確かにそれを手に取り、中を見たのだ。  一枚写真を見る度に、一つ。  もう一枚見て、今度は三つ。  私と彼と美優の楽しかった記憶が、脳裏に蘇って来る。 『…美樹は、僕の結婚を幸せ?』  そのはずみで、彼との他愛ない会話が蘇った。  美優が生まれる前に交わした、本当に他愛ない会話だ。  きっかけが無ければ…いや、きっかけがあったとしても思い出す事が出来なかったであろう会話。 『なんだ突然』 『ああいや…たまに、ほんっとーにたまにね?そう思っちゃう時があるんだ』 『なんでそんな事を疑問に思う?』 『…美樹は僕と結婚したせいで研究職から遠退いちゃったでしょ?  …だから、本当は結婚なんかしないでずっと研究し続けていたかったのかなって。     
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