迎撃の日・・・

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ふいに、他とは違う内容の声に振り向けば、ひとりの少女が自身の祖母であろう 高齢の女性の肩を一生懸命に引っ張っている。 彼女の足は傷つき、血で染まっていた。年齢的にも“死を少しだけ遅らせる逃避行”には 参加できないだろう。 「見せて。」 1人の若い女性が駆け寄り、傷ついた足を触る。痛みに顔をしかめる祖母の様子を見た 少女が泣きそうな…いや、もう泣いた後か…の表情を更に歪める。 「酷いわね。」 女性は医療関係の人間なのだろう。呟き、携帯を取り出し、耳に当てるが、 力なく首を振り、ポケットに戻す。 「携帯にネットも、テレビも何にも映んねぇ。使えねぇよ。もう終わりだよぉ、 クソッタレェ!」 地面を蹴る若い男が、女性達に対し、罵声のように“自身の絶望”を浴びせた。 「いい加減にしないか。今は、この人を何とかして、ここから運びださなければいけない。」 中年のスーツを着た男が若い男を嗜め、女性達に駆け寄る。文明を持った生物達がとる “滅ぶ前のありがちな行動”だ。恐らく世界中のあらゆる場面で、同じ光景が 繰り返されている事だろう。 しかし、それも一瞬の事と決まっている。 「オ、オイッ、あれを見ろ。」 若い男が空を指さし、悲鳴を上げた。見れば、地上に残った僅かな“浄化対象”を目ざとく見つけた怪物の一隊が、こちらに向かって飛んできている。  
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