特別な今日

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
今日は特別な日だ。彼方此方で祝福の歌が聞こえる。 もう空は深く暗いが、街並みは絵画の様にライトアップされ華やかに輝いている。赤と緑が補い合ってチカチカと、網膜の裏に焼き付いていく。 「ね、ごちそうおいしかったね、ね。」 「あぁ」 「そうだね、××」 辺りは家族連れか二人組が多数を占めて、お店のキャッチがポツポツと。いつもは見かけない小さな子供が手を引かれて幸せを振りまいている。あの子は、ご馳走で一杯になったお腹をさすっているし、この子は、プレゼントが並んだ大きくて透明な箱に夢中になってかじりついている。 騒がしいというより、賑やかに近い穏やかな空気に驚く程自然と笑みがこぼれた。 今日の夜は長い。眠る時間になっても、白いお髭の大人達を捕まえようと必死になるのだろう。 結局、眠ってしまうのだろう。 あの子なんて、だだでさえもう眠そうだ。 どうか、そんなに目を擦らないで早くお休み。すやすやと眠っている良い子のところにしかね、プレゼントは届かないんだよ。 ショーウィンドウは今日だけは特別に全部君達の美術館。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!