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「特別な日って、どういう日ですか?」
いつもよりもハッキリとしていて丁寧な言葉。
なぜか返答を急かされているような気がして、とにかくなにか言わなければと思って、口を動かした。
「河本さんは俺の仕事を見てるから分かると思うけど、ここ最近忙しくて疲れたんだ。土日も人付き合いで埋まるから、心休まる時間がない。見せるわけにはいかないけど、俺のスケジュール帳は今日を除いて真っ黒なんだ」
「…………今日を除いて真っ黒、ってことは今日の予定はないってことなんですよね? それのどこが特別な日なんですか?」
「だから、他の日は忙しくて、今日は予定がないんだ。一月の中で今日だけ予定がないっていうのは特別な日だと思わないか?」
そう説明すると、河本さんはまた黙った。すぐに指摘をしないところを見ると、この説明は上手くいったようだ。
「へぇ…………なるほど。なにもない日だからこそ、特別ってことですね」
「そういうことだ。河本さんの誘いは嬉しいんだけど、今日は家でゆっくりしようと思ってるんだ」
「はあ。そうなんですか。…………それで、どうするんですか?」
納得したのかと思いきや、この質問だ。なんだか会話がかみ合っていないようだ。
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