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意識しないから問題なんじゃないかって当時ヨシヲはそう思ってたらしいよ。
全く持ってその通りだと思う。
張本人である私が言うのもなんだけど。
「まぁええわ……やって欲しい仕事は誰でも出来る様なモンだからなぁ……んじゃ、ええか?」
「おっけー!!」
ヨシヲ社長が相槌を誘うと、アリカは嬉しそうな笑顔を縦に振りそれに応えた。
この世界において雇用方法は簡単……就職先の担当と証明機器をリンクさせ、上司が承認するだけ。
彼が社長である以上、彼が認めればその時点で雇用が確定する様になってる。
つまり、ここでヨシヲ社長が入社を認めれば……私は晴れて明日からの強制就労所出所義務から外れる事に成る訳だ。
ピッ……
ヒュゥゥン……
電子音が鳴り、宙に映し出された画面にあるアリカの経歴に一つの文字が刻まれていく。
そこに映し出された文字……「オウギ・レクリエーション・ラボラトリ入社」。
その文字を見たアリカは……浮かばせていた笑顔を見る見るうちに潰した様に歪ませその喜びを最大限に表情で表して……
「やったァーーー!!」
大声と共に感極まった歓びを体全体で表す様に……体一杯に両手を振り上げた。
こうしてアリカは、見事強制就労所行きを跳ね除ける事に成功し……大いに湧いたんだ。
次の日になってちょっとした絶望が待ってるとも知らずにね……。
家に帰ってスケジューラーから「強制就労所出勤」の文字が消えたのを両親と一緒に喜んだのは今でもしっかり覚えてる。
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