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暫くして身支度を済ませたヨシヲ社長はアリカが待つ中央間に戻り、手に取ったマグカップに注いだ緑茶を一啜りすると……彼女に付いてくるように手招きして奥の部屋へと入っていく。
それに釣られ、アリカは何も考えてないような顔で付いていった。
古臭い階段がそこにあり、彼が行く道を付いて行く……地下にこの会社での業務が待っているのだろう、そう直感した。
けれど、現実は思った以上に……不思議な姿を晒した。
地下へ向かうと一つの扉があり、彼に誘われるままその先に在る部屋に入ると……そこには一人の人影……いや厳密に言えば……。
「簡単に説明するとだな、こいつは『ダイバースーツ』って代物だ。 こいつを使ってとあることをする事がワシの人生の目的でもある」
マネキンに着せたのであろうそのダイバースーツという物は、飾る事の無い質素ではあるものの人の形に近い形状を持った宇宙服とも思えるモノだった。
「ワシの目的は唯一つ……コイツを流行らせる事。 一つの遊び、一つの趣味として多くの人が体験出来るレクリエーションとしてこいつを開発したんよ」
そう紹介され……恐る恐るスーツに手を触れると……金属で出来ているのだろう冷たい感触が手一杯に広がる。
怒られない辺り、触れる事は問題無かったのだろう……むしろその顔は嬉しそうな顔を浮かべ……そんな顔を見たアリカは「この人は本当にこれが好きなんだろうなぁ」と心に思った。
「んで、これで何するの?」
「ふふふ……よくぞ聞いてくれたッ!!」
待ってましたと言わんばかりに声を張り上げ、ヨシヲ社長は興奮しながら答えてくれた。
「こいつを着て……人単体での大気圏突入をするのだっ!!」
「おおー!!」
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