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「ムリィーーー!! 帰るゥーーーー!! 辞表出すゥーーーーーーー!!」
「待てェーーー!! 危なくないから!! それと辞表は役員向けだッ!!」
逃げ出そうとするアリカを羽交い絞めにして引き留めるヨシヲ社長。
お互い必死に攻防を繰り返し、気付けばお互い爪の跡で体が真っ赤っかだったよ……。
「ぶふー!! ぶふー!!」
「どぅどぅ……落ち着けアリカ、いいから落ち着くんだ」
興奮した猛牛を宥める様にジェスチャーし……それに釣られた彼女は徐々に気持ちを静めていった。
「うぐっ……こんなの詐欺だぁ……入社詐欺だぁ……」
「入社詐欺ってまた意味の分からん……大体募集要項にあったじゃろが、『体を張った仕事が出来る方』って」
「……募集要項……?」
それは、「社員募集中」と書かれた紙に続いて書いてあった、募集における条件。
その中に含む「体を張った仕事が出来る方」の文字……これらは当然彼女の目には入ってはいない。
「エー…そんなの知らないんだけどー……やっぱムリ」
「んじゃ明日から強制就労所送りだな」
「ギャワーーーーー!!」
死ぬのは嫌、でも就労所も嫌……その時アリカは世界を呪ったよ、「なんで皆私と同じバカじゃないの?」ってね。
「安心しろアリカ……さっきも言ったが、死ぬこたぁ無い……お前さんがしくじらなきゃなぁ」
「ギャワーーーーー!!」
その時、「しくじるに決まってるじゃん、アタシバカだよ!?」って思ったのは御察しの通り。
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