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そんな中でもモルガの家は、代々、銃を作っている技師の家系である。父は去年他界したが、後を継いだモルガの兄スフェーンは、若いながらも腕が良いと評判であった。
実はモルガもつい最近まで、その兄や、修理士をしている姉にこき使わ……げふん、彼らの元で、コツコツ地道に修行しており、「銃の技師ではなく、VD技師になりたい」と、夢を語り続けてやっと、説得に成功。
冒頭、はるばる、帝都へやってきたわけなのだが。
「貴様、マルーン出身か……」
渋い顔のルクレツィアに、モルガは訝しむ。
ルクレツィアは彼に、言うべきか伏せるべきか……悩んでいるように見えた。
が、意を決し、ルクレツィアはモルガをジッと見つめ、言葉を選びながら、口を開いた。
「今回の出撃……あのヴァイオレント・ドールは、全て、マルーンに向かっている」
「は?」
なんでじゃ……予想外の言葉にモルガは言葉を失う。
「……マルーン近郊のトラファルガー山が、昨日噴火したと、連絡があった」
「んじゃと!」
詳しく、状況を教えてくれ……思わず、モルガはルクレツィアの肩を、強く掴んだ。
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