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とはいえ、モルガはただの技師であり、騎士でない者が、VDの操縦など、できるわけがない。
男は意地悪そうに、口を開いた。
「事は一刻を争うし、敵国の侵入はいつ起こるかわからない。もちろん急いでもらうよ。リイヤ・オブシディアン」
「しかし……」
どうやって……? 再び、ルクレツィアは男に問う。
「もちろん、君のハデスヘルでだ」
「はぁ?」
出てきた機体の名前に、モルガはド肝を抜かれた。
ハデスヘル。
かつてトレドットの「象徴」であり、かの国を守護していた、『闇』の精霊機。
「彼女が……え……元素騎士……?」
驚き絶句するモルガを無視し、男はさらにモルガとルクレツィアを仰天させる言葉を発した。
「精霊機の心臓に乗せることはできないけど、「手に持って連れて行く」事はできるよね」
にっこりとほほ笑む悪魔……まさしくそんな感じの男に、あんぐりとルクレツィアは口を開く。
モルガも思わず、開いた口が、塞がらない。
男の細い目が、楽しそうにジッと二人を見つめた。
「思わず潰しちゃったり、落して後味が悪いことにならないよう、気を付けるんだよ?」
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