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父さんから任された荷物もあるしさっさと行ってしまおう。
そう自身に言い聞かせて歩を進める、どうせ自分には出来る事なんてないのだから。
「あっ、あの。どうかしましたか?」
だが いつの間にか僕は彼女の前に立っていた。
結局のところ、僕は引っ張られる後ろ髪に抗えなかったのだ。
「え、あ、え、その。あの……道に……迷ってしまい……まして」
突然 話かけられて驚いてしまったのか、彼女はしどろもどろになりながらこちらの問に答えた。
ほら、やっぱり。と思ったてしまったが、もはや今更だ。
もうすでに後悔が胸の底から活火山の溶岩の如く沸き上がっているが、もう仕方ない。
「ここら辺は住宅地ですから、小道とかが多いんで結構いりくんでるんですよね。
わかる範囲でなら案内しましょうか?」
もうこうなっては、彼女の行き先が僕の案内が出来る範囲である事を祈るばかりだ。
「………では、お願い……します」
彼女は僕の言葉に少し迷っていたようだが。自分一人ではたどり着けないと判断したのか、たどたどしく言ってスマホの画面をこちらに向けてきた。
「あの……、"井ノ川"さん…と言う人の…家を探している……のですが」
「……………ん?」
思わず疑問符で返してしまった。
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