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「あの~、それはもしかして、大学教授とかやってる井ノ川さん?」
「はい、そうです!……ご存知なんですか?」
そう言うと彼女は食いつくようにこちらに身をのり出してきた。
いや、まぁ、知ってるも何も。という話なんだが。
「ここら辺で大学教授なんてやってる井ノ川はウチの父くらいかと」
僕がそう言うと彼女は一瞬 何を言われたのかわからないと言うようにキョトンとした顔した。
そして次の瞬間。
「え?え、ええええええええええええええええええええええ!!」
逆にこっちが驚くほどのリアクションで驚いてくれた。
つーか、わざわざ飛び退くほど驚かんでも。
それにしても、この父を訪ねてきたと言う彼女はいったいなんなんだろう?
父の務め先の大学の生徒かと思ったが、彼女からあまり年上と言う感じはしない。(まぁ、言動や身長に年齢は関係ないのだが)
そもそも生物学と言っても、昆虫を専門に教えている父の元には女性はあまりいなかったハズだ。
「あ…あのぉ」
そうこう考えていると、飛び退いていたハズの彼女がいつの間にか両手を胸の高さで構えてこちらに にじり寄って来ていた。
「そ…それじゃあ、アナタ…が…井ノ川教授……の…息子さん………って事でいいんです……よね?」
突然 変わった彼女の雰囲気に思わず後ずさってしまった。
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