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だが、入ってきた人物がこちらに近づいてようやくその顔を見ることができた。
それは白く長い髪の男。窓の月明かりに照らされたその髪は、白であるにも関わらず光を反射しているという印象はなく。
むしろ吸い込んでいるのでは?と思ってしまうほどだ。
白い濁りの色、思いつく限りそれが一番近い表現だ。
顔は凛々しいと言う表現が当てはまりそうな美丈夫で長髪でもあった為、一瞬 性別がどっちか迷ったほどだ。が
(歪んでいる。)
そう思った。
顔の話ではない。
だが 具体的に、どこが、とか、何が、とかは言えないしわからないが。この男から感じる何かが、そう思わせるのかもしれない。
そして、僕が縛りつけられている台の真横にたった時、男は口を開いた。
「∽∝∑∮Å∬ÅÅ√⊥∠∵」
「はっ?」
何を言っているのかわからなかった。
聞き取れていなかったのかも、と思ったが。聴き続けていても何が何やらさっぱりわからない。
そこでようやく言語そのものが違うのだと理解した。
「これを外して下さい!お願いします」
拘束具の鎖をガチャガチャと鳴らして声を張る。
相手の使っている言葉はわからないのだ、こちらの言葉が相手に伝わる保証はない。
しかし、こんな状況だ。身振りだけでも意思は伝わるハズだ。
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