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だが、この男が返してきた反応は。
ゾクリと背筋が寒くなるような、嘲笑的な微笑み。
ヤバい。
直感的にそう思った。コイツの近くにいてはならないと。
しかし そうは思っても両手足は拘束されていて動く事は出来ない。
それを見た白髪の男は先ほど自身が入ってきた扉に向き直ると、指を鳴らして合図のようなモノを送った。
すると重い足音を響かせて、何かが部屋の扉の前に現れた。
それはかなりの巨体の持ち主で、2メートル以上ある扉を体を屈めなければ入れないほどその体は大きかった。
そして人間と言うにはその姿はあまりに不恰好だ。
二本の足で立っている所は同じだが、それ以外はどこかおかしい。
まず左右で腕の大きさが明らかに違う。右は丸太のように太いのに、左はまるで普通の腕。
しかもやたら長い足は分厚い胸板の下の辺りから生えているように見える。
そんな異形が全身を包み隠す鉄の鎧など着ているのだから、人間味など感じられる訳がない。(これは後で知った話だが、この鉄鎧の怪物は鉄の土塊人形とか言うらしい)
その怪物が抱えていた布を被せた細長い看板みたいな板を、アンバランスで武骨な見た目とは裏腹に丁寧な動作で優しく板を立てて男の横に置いた。
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