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怪物の動作に満足そうに頷くと、白髪の男はその怪物が置いた板にかけられ布に手をかけ。
そして一気に剥ぎ取った。
「…………………なっ!?」
布を剥ぎ取って現れた"モノ"に僕は絶句した。
いや、厳密には違う。
だってそれは何処にでもある物なのだから。だから厳密には、布の下にあった"姿見の鏡に写ったモノ"に絶句したのだ。
「なんだよ……コレ………」
ろれつの回らない舌でこぼれ出すように紡いだ言葉は消えてしまいそうなほど小さい。
「なんなんだよ………」
事態が把握 出来ずに頭の中が白くなる。
信じられない。いや、信じたくない現実に頭が考える事やめているのだと気づいたが、その思考さえも思考停止の闇の中に消えていく。
「なんなんだよコレええええええええええええええ!?」
ただ、闇の中へ消えて行く思考の断末魔のように口から信じられないほどの咆哮が弾けた。
そして思考と共に意識までもが闇の中に消えて行く。
意識が消えて行く前に見たもの。鏡に写った自分自身の姿。
黒いボールのような2つの目は顔の半分の面積を占めるほど大きく、その下にはナイフのように鋭利で横開きの顎。
特徴的な長い触角は目の上から伸びて、放物線を描いて背中へと伸びている。
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