カミキリ虫

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怪物は扉を押し開くと僕をその中へと放り投げた。 「ぃってぇ~」 急に投げ飛ばされて受け身をとる事も出来ず、顔面から思い切り着地してしまう。 痛む顔を擦りながら振り返るが、扉は既に鉄鎧の怪物によって閉じられていた。 閉じ込められた。 反射的にそう思って辺りを見回した。 辺りは壁にぐるりと囲まれている。どうやらかなり広い円形の空間のようだ。 地下にしては妙に明るいので上を見上げてみれば。天井はなく、そのまんま青空を仰ぎ見る事が出来た。 もしかしてあそこから逃げられないかと考えたが、壁の高さはゆうに20メートル以上ある。 見た限り指を引っ掛けられるような隙間もない、よじ登るのは無理そうだ。 どうしたものか思案していると、突然 鎖を引くような金属の擦れる音が聞こえてきた。 何事かと音のする方へ視線を向けてみると、自身が放り投げられた扉と向かい合うように門があった。 門は鉄格子のようなモノで閉ざされていたようだが、その鉄格子が徐々に上がっていっているところを見ると。 どうやらこの金属音はあの鉄格子が上がっていく音のようだ。 門の向こうは暗闇でここからでは中を覗き見る事は出来ない。 だが、門が開いたと言う事は進めと言う事なんだろうか?
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