21人が本棚に入れています
本棚に追加
怪物は扉を押し開くと僕をその中へと放り投げた。
「ぃってぇ~」
急に投げ飛ばされて受け身をとる事も出来ず、顔面から思い切り着地してしまう。
痛む顔を擦りながら振り返るが、扉は既に鉄鎧の怪物によって閉じられていた。
閉じ込められた。
反射的にそう思って辺りを見回した。
辺りは壁にぐるりと囲まれている。どうやらかなり広い円形の空間のようだ。
地下にしては妙に明るいので上を見上げてみれば。天井はなく、そのまんま青空を仰ぎ見る事が出来た。
もしかしてあそこから逃げられないかと考えたが、壁の高さはゆうに20メートル以上ある。
見た限り指を引っ掛けられるような隙間もない、よじ登るのは無理そうだ。
どうしたものか思案していると、突然 鎖を引くような金属の擦れる音が聞こえてきた。
何事かと音のする方へ視線を向けてみると、自身が放り投げられた扉と向かい合うように門があった。
門は鉄格子のようなモノで閉ざされていたようだが、その鉄格子が徐々に上がっていっているところを見ると。
どうやらこの金属音はあの鉄格子が上がっていく音のようだ。
門の向こうは暗闇でここからでは中を覗き見る事は出来ない。
だが、門が開いたと言う事は進めと言う事なんだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!