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少年はそれを見つけると少女を連れるようにカウンターにいる男の元へと迷いない足どりで向かった。
「あなたが?」
「おう、オレがここの顔役をやってるもんだ。あんちゃんが噂に聞く"アレ"か………」
少年の訊ねに対して、男はいっそ凶暴さすら感じる不敵な笑みで答えた。
「事情がそちらにまで伝わっているなら話が速い。さっそくお話をお願いします」
「まぁ、待てよ」
詰め寄るようにまくし立てる少年を男は片手を上げて制した。
「逸る気持ちもわからんでないが。流石にいきなりお前さん達だけを行かせる訳にはいかねぇんだ」
男が少年と話をしていると、突然 古い自動扉を壊さんばかりの勢いでぞんざいに押し開き入ってくる人影があった。
「ん!、おお、ちょうどいい。おい、"日銭稼ぎぃ"!」
男はその人影を見つけると、手を振って招き始めた。
「なんだ」
日銭稼ぎと呼ばれた人物はそのまま真っ直ぐに男の元へ近づいて行く。
二人の少年少女はそれに気づいて振り返ったが、その瞬間 あからさまに表情を強張らせた。
その人物は確かに2対の手足を持つ人型なのだが、その顔はどう見ても人間のモノではなかったからだ。
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