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「貴重なモノなんでな、念の為だ」
そう言いながら僕の腕に嵌めた方とは逆の手錠の輪をアタッシュケースに嵌めた。
まぁ、電話で聞いた通りのモノが入っているなら、このくらい当然なのかもしれない。
が、
いきなり息子に手錠をかけるとか、親としてどうなんだ?
「それにしても、よくこんなの手に入ったね。かなり貴重なモノなんでしょ?」
手錠の件は諦めて、なんとなく聞きたかった別の話題にシフトする事にした。
別にこの親の奇行は今に始まった事じゃない。
父のこの性格に関してはもういろいろ諦めがついてしまっているので、もう何も言う気にならなのだ。
「ハッハッハッ、すごいだろ!」
うるさいくらい高笑いしているが、正直な話そのくらいテンション上げたくなる気持ちはわかる。
「コレの輸入許可が降りるなんて、さすがは大学教授だよね」
父の持ち込んだモノは希少すぎて中々 輸入許可なんて降りそうに無いのに。
「ハッハッハッ、な~に。何事にもな、抜け道や裏技ってのがあるもんだ」
「父さん、息子の前で平然と怖い事 言うのやめてくれないかな」
「冗談だ冗談。ちゃんと正規の手続きをしたもんだから安心しろ」
そう言って父さんはまたうるさいくらい笑う。
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