第2回心の処方箋 -問い合わせ-

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なんだか話がこんがらがってきてしまった。死神社会は企業か何かなのだろうか? それに、死にたいと願っている私が何故ここにいるんだろう。 吉良さんを死神として信じるなら、吉良さんは私が望む世界へ導いてくれると言った。でも命のやり取りはしないと今言っていた。 一体どういう状況なんだろう…。 「凛さんはね」 吉良さんは一呼吸おいてこう言った。 「要件を満たした特別な存在なんだ。だから僕のカウンセリングを受けるつもりがあるなら、お金はいらない、僕の仕事を少し手伝ってもらいたい。それから、君の望む世界へ必ず導いてあげる。」 私の望む世界は今は死の世界だ。 さっき恋人に振られた腹いせに自殺した人の話が出たが、それは私にも同じ事が言える。 私は私が死んだ時に、親がどうするか知りたいのだ。泣き叫ぶのか、世間体を気にして自殺をひた隠しにするか。 「じゃあ、カウンセリングを受けても私がどうしても死にたいと言ったら…?」 「君には今選択肢が二つある。生きるか、死ぬか。まぁ誰にでもこの二つの選択肢は権利として有るんだけどね、僕の目の前には基本的にはまだ生き続ける人しか来ないから、凛さんは本当に特例なんだ。僕のカウンセリングを受けてもずっと変わらなかったら、そうだなぁ、それはカウンセラーとして致命的な気がするんだけど…」 吉良さんは少し躊躇ったあと、こう続けた。 その時の無感情で冷たい表情に私はゾッとした。 「覚えておいて。僕は職権で、人を殺す事ができる。」 それが初めての、死神らしい振る舞いだった。
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