第4回心の処方箋 -初診-①

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オーストラリアでのホームステイが終わった後、私と彼は学校では話さないものの、家に帰ってからは頻繁に連絡を取っていた。 学校では女子と話している姿をあまり見られたくないと言う割に、席替えが行われた時には、私の隣の席に座ったりするのだった。 彼と仲良くなって3ヶ月くらい経ったある日、学校帰りに寄り道した噴水のある公園で、彼が「付き合おうか」と言ってくれた。 私はこの日を今でも良く覚えている。ちょうどクリスマス前の事だった。 クリスマスに、私と彼は夜一緒に食事をする約束をした。母にも彼氏が出来たと報告していたし、特に反対はされなかった。 彼と話し合ってお店を決め、当日までの間、何度も服を選び直した。私の友達もクリスマスはデートだと言ってはしゃいでいたっけ。 クリスマス当日。約束通りの時間に彼と待ち合わせをし、予定通りにお店に入った。オーダーを済ませ、二人で楽しく話ながら過ごしていると、私の携帯が鳴った。 「あれ?お父さんだ。」 私が彼に許可をとって電話に出ると、内容はこうだった。 「お父さんもお母さんも街中に食事に出て来ているんだけどね、今どこにいるの。」 滅多に電話してこない父からの電話に、何事かと思えばそんな事…。 「今ご飯食べてる。場所はお母さんが知ってるお店だよ、お母さんに聞いて、言ってあるから。」 と、私は迷惑そうに答えた。 「じゃあ、今お店の外に出て来なさい。」 何を言い出すのかこの人は、と思いつつ、彼にことわってから店のドアを開けた。 するとドアのすぐ近くに、なんと父が立っていたのである。 私を確認すると父は携帯を切って、スーツのポケットにしまった。 -何故いる!? 私が何故ここにいるのかと驚愕していると、 「近くまで来たからね。はい、お小遣いあげる。」 と、父は私に数千円渡してきた。 「早く帰って来なさいよ。」 そう言って父は帰って行ったが、テーブルに戻った私は恐怖した。 「小遣いは建前で、本音は居場所確認だろ…。」 彼も私も初めて一緒に過ごすクリスマスなのに、まさかこんな事態が起こるとは…。 「この後ツリー見たら帰ろう。親が心配するだろうし。」 後々わかったことだが、「さすがに親がデート現場に付いてきてしまったのはドン引きだった。」と彼は言っていた。 「付いてきたの!?」 これには吉良さんも驚き、私はあの時と同じ居たたまれない気分になった。
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