第2回心の処方箋 -問い合わせ-

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「随分と早く来たね。」 インターホン越しの吉良さんは明らかに驚いた様子だった。玄関に出てきた時にはもう落ち着いていたけれど。 あとここに住んででもいるのだろうか、服装が昨日と同じで、今まで寝ていたのか髪に寝グセがついている。 「もう診察時間じゃないんですか。」 私は少し意地悪そうに言った。吉良さんは診察時間の事を言ってるわけじゃない。 私の視線を感じたのか、吉良さんは視線の先辺りの髪を触りだした。 「僕は今日非番なんだ。…寝グセひどいな。」 まぁ私と違って髪が柔らかそうだし、確かに寝グセはつきやすいのかもしれない。にしても寝グセを気にする死神っているんだ…なんて。 「せっかく来てくれたんだから入って。あ、でも今日は短時間ね。あと着替えだけさせて。」 吉良さんは壁に沿って並べてあるスリッパを一組とると、私の足下に置いた。 「部屋はこの間と同じ場所ね、着替えたらすぐ行くから待っててくれる?」 そう言われて、 「あの!」 私は少し大きめの声で吉良さんを引き止めた。 「昨日の…死神とかなんとかって話…」 部家に上がる前に聞こうと思っていた事がいくつもあったはずなのに、いざ言おうとしたら、しどろもどろになってしまった。 「あぁ」 吉良さんは振り向いて言った。 「大丈夫、今日は凛さんの疑問に答えるだけだから。それに僕は人間のお迎え係じゃないからね、きっと君が期待してるものとは少し違うよ。」 この時の彼は、さっきの私みたいに少し意地悪そうだった。 「外に聞こえちゃうから、入って。」 吉良さんは私がスリッパを履き替え始めるのを見ると、そのままこの間とは違う部屋に入っていった。 今日はカウンセリングが行われているらしい、しかも2名くらい。 靴もあるし、感情的になって話す声がする一方、道端で世間話でもするようなトーンでのやり取りも聞こえる。 そういえば、ここのカウンセラーさんは全員「死神」なんだろうか。 まぁ教えてくれるかは別として、吉良さんに聞いてみればいいだろう。 そう思いながら、私は1番奥の部屋へと向かった。
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