心の音は

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心の音は

△▼1△▼  人は誰しも、命に長さがある。私は15cm。  それが時間じゃなくて距離なのは、私が機械に生かされているから。  小学生の頃、よく寝る子だと言われた。私自身、ぼおっとすることが多くて、体も弱いんだと思う。だけど、あまりに他の子と疲れ方が違っていて――お医者さんに診てもらったら、洞房結節(どうぼうけっせつ)とかいうモノが働いてないと告げられた。  訳も分からないまま家族の皆は泣いて、私もつられて悲しくなった。  どうやら私の心臓は、なまけものらしい。  無理やり動かさないといけないほど、お寝坊さんだそうだ。 『日暈(ひがさ)奈央(なお)さん』  そうやってお医者さんに呼ばれる。診療室で何度も丁寧に説明されたけれど、まるで他人事のように頭には入らなかった。  怖くない、心配ないよ――両親が呪文みたいに唱え続けている。それが逆に不安を煽るようで、病院のベッドだと眠り難い。  中学校に上がる前、手術をした。睡眠不足だったのも手伝って、麻酔が驚くほど効く。ぷつんと意識が無くなって、起きたら病室で横になっていた。真夜中に目を開いたのは、四年経った今でも覚えてる。     
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