第二話 恵みの雨

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「急ににわか雨に降られた時、濡れたくないと思って、軒下とか木の下を通ったりすることあるだろ? でも、結局は濡れちまうことに変わりはない。だったら、はじめから雨は濡れるものだと覚悟していれば、苦にはならないって事だ」 「えと、つまり弱点は誰にでもあるからうじうじ考えてばっかりいないで、気にせずどーんと進めってことですか?」 「まぁ、そういう捉え方もあるだろうけど」  先輩は少しだけ気まずそうに耳の後ろを掻いた。 「俺が言いたいのはつまり、自分の気持ちからどれだけ目を逸らしたって、結局想いは何も変わらないし変えられない。それならば潔く認めて受け入れようってことだ」 「え?」  言葉の真意がわからず戸惑う僕に、先輩の真剣なまなざしがそそがれる。 「入学式の日以来、ずっと頭から離れなかった。そんな筈はない、何かの思い違いだ気の迷いだと振り払おうとしてみても、日にちが経つほど想いは消えるどころかどんどん増していく。こうやって会ってまた話して、結局はそんな悪あがきは無駄だと気づいた」  先輩は一旦呼吸を整えるように深く息をすると、再び口を開いた。 「尚里、お前が好きだ」 「せん、ぱ……」  何かが胸にすとんと落ちて、同時に涙がぽろりと零れた。 「って。えっ!? ごめん、急にこんな事言われたら驚くよな。困らせるようなこと言って悪かった」  わたわたと焦る先輩。僕は手の甲で涙を拭うように顔を覆い、ぶんぶんと首を横に振った。     
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