第二話 恵みの雨

9/9
前へ
/17ページ
次へ
「ち、違うんです……っ、そ、じゃなくてっ……」  いろいろな想いがこみ上げてきて、溢れ出して、上手く言葉が出てこない。上手く考えがまとめられない。首を横に振り続ける僕の背中を先輩は優しく撫でてくれた。 「いいよ、慌てるな。落ち着いたら、ちゃんとゆっくり話そう。な?」  しゃくりあげながら、今度は首を縦に振り始めた僕に、先輩がほっと息を零したのがわかった。  会話が途切れたせいで、雨音がまた大きく耳についた。だけど、先ほどまでの陰鬱なだけの音とは違い、まるですべてを祝福する歓喜の拍手のように聞こえた。 第二話 恵みの雨 End.
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

197人が本棚に入れています
本棚に追加