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ハトに憧れたカラス
カラスはハトに憧れた。
食料のハトに。
か弱いハトに。
その汚れを知らない純白の羽に。
平和の象徴に。
カラスはハトになりたかった。
カラスはハトを食べた。
ハトを食べればハトになれると信じて、
ただひたすらに食べた。
いつしか体は真っ赤に染まり、憧れた純白の羽は、
深紅に染まっていた。
憧れた平和の象徴は、恐怖の象徴に変わっていた。
カラスが恋したハトはもういなかった。
いつの間にか食べていた。
気付かず食べていた。
絶望の中でそれでもカラスは今日も生きていた。
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