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                 日曜の午後                  風のまた旅                  悠かに遠く              燃え上がる炎 運命の灯火                 ふわり ゆれて           太陽の花 水をやる老人は 瞼を閉じる                    ・                    ・                    ・  あぁ、何年経っただろう。トォールスグルモイは春の妖精たちが遊んで片付けずに彼の寝床の上に散らかしていったべしゃべしゃした沼地の草花を払いのけながらあくびをした。事実彼は長い長い冬眠から目覚めたところであり、頭がぼんやりしている。彼は自分を怠け者だとは思っていないがその身は大きなトロールか何かに属するところで、彼の生体時計は一日に数回彼と彼の目の前の光景の関係性をぱしゃりと書きかえるだけにするお淑やかさを持っていた。それを常と眺めるクォンゲル沼の隣人達は(とくに小さくてせかせかして悪戯こそが世界を動かす唯一の精神だと信じて行動するはた迷惑なある種の隣人たちは)彼を奇妙な生き物と不可思議に、そしてとても面白く心惹かれていた。小さな生物達の関心は、要は大きな生物の生活圏への行軍蹂躙として発揮されていたのである。トォールスグルモイ、何度も書き記すには少し長い名前なので、ここは彼の一番の友人が呼ぶ所であるティモシーという名前を借りよう。ティモシーはこのことが大変不愉快だった。僕のプライバシーは一体何処に行ったのだろう。岩のように佇みながら、彼は思索の糸を少し少しと垂らして太陽がジリジリと首筋の裏から横へと視線を垂らすまでぽかりと口を開けた大穴で澱みに釣針をずるずると沈み込ませていた。太陽の熱さが彼の首に興味を失った頃、彼の一日はようやく始まった。少ない日の中で、ティモシーは近隣の森から僅かな食料を集め、淋しいお腹を抱え、冷たく床に就いた。
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