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「腹へったなぁ。」
食糧は確かに貯めておいたはずなのだが、どうにもあの小さないたずら好きの虫っころたちは辛抱ができないようだ。数年前に作った食糧用の木箱を探る。昨日と同じくやはりその中には空しい空気と木片が入っているだけだった。のそのそと躰を日に当てながら周りを見渡す。彼が棲み処にしている窪地をくるくると調査してまわった結果は、草、乾いた泥、干乾びた貝、沼地の花、草、とても食べられない草、妖精の鱗粉どっさり、冬眠の前にはこんなに汚れていなかった筈の家具達。このようであった。辛うじて食べられる草花は妖精たちの善意と信じ、朝食にお腹を騙しながら胃を満たす。
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