春の屍

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 私の春は死んでいる。私が殺して屍を横たえたからだ。中学三年生のあの日から、私に春は訪れない。けれど私は未だに、春の面影を忘れられないでいる。  私がもう喪ってしまった春のことを想起したのは、同窓会のお知らせが実家に届いたからだ。成人式の日に中学三年生のクラスの面々で集まって、ホテルで食事会をするらしい。  桜。私の脳裏に微笑む少女の姿が浮かぶ。私は親友だった桜が同窓会に出席するのか気になって、およそ四年ぶりに桜の連絡先を開いた。久しぶりと定型句から始まって、同窓会に出席するかどうかを尋ねる文面を作成する。あとは、送信を押すだけ。押すだけなのに、私の親指は鉄のように固くなって動かない。  だって、そうだろう。桜に会いたいのに、会って顔を突き合わせるのが怖い。あの静謐な力強い目で見詰められるのが怖い。中学を卒業してからの空白の四年間は、私を臆病にさせるのに十分な期間だった。ぎゅっと目を瞑ると、私を呼ぶ桜の声が脳裏に蘇った。私は細く息を吐き出す。桜と初めて出会った時のことが、昨日のことのように思い起こされた。
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